デジタル化が極度に進んだ結果、無数のデータ・ソースからミクロなインサイトが生まれるようになりました。この状況に生成AIが加わり、企業全体や広範なエコシステムに与える影響はより大きなものとなりつつあります。データは高度化し、AIは新たなレベルにまで高められ、自動化ワークフローのインテリジェンスは加速しています。
自社が競争優位性を確保できるかどうかは、生成AIにかかっていると答えた CEOは4人中3人に上ります。生成AIの導入とデータ主導のイノベーションで最前線に立つ企業、すなわち本レポートで「生成AIリーダー」と呼ぶグループは、同業他社と比べて年間純利益が72%、年間収益成長率は17%高く、すでに大きな成果を達成しています。
こうした動きは広がりつつあり、2026年までに自社のワークフローをデジタル化し、AIを活用して自動化を進めるつもりであると答えた経営層は92%に達しています。問題は、導入のスピードを上げる企業がある一方で、そのスピードについていけない企業があることです。AI導入を早期に実行した企業と躊躇(ちゅうちょ)している企業との間には、大きな差が生まれつつあります。AIを活用したソリューションの導入に苦戦する企業は、ますますテクノロジー主導になりつつある市場において、その地位を失う可能性があります。
このような状況の劇的な変化を受けて、IBM Institute for Business Value(IBM IBV)は、AIと自動化について、非常に複雑で広範な調査を実施しました。
IBM Institute for Business Value(IBM IBV)は、Chief Automation Officer(最高自動化責任者)を含む世界中の2,000人以上の最高経営層を対象に調査を実施し、AIと自動化によるインテリジェント・ワークフローの推進や、コネクティビティーの向上、価値へのスケールアップに関して、主要な戦略と投資について質問しました。またこの調査では、前述の「生成AIリーダー」にも焦点を当てています。これらの企業は、先進技術に多額の投資を行い、組織全体でAIと自動化の強化に取り組んでいます。
回答者全体の10人に8人(82%)は、生成AIに対する投資は潜在的なリスクに見合うものだと捉えています。社会のあらゆる場面において、この新たな領域の開拓は進んでおり、今こそが生成AIと自動化が組織にもたらすチャンスを明らかにする絶好の機会です。
「生成AIリーダー」の特徴
誰もが生成AI革命の波に乗っているように見えるかもしれませんが、すべての事業や組織が同様の成果を上げているわけではありません。
本レポートが表現するところの「生成AIリーダー」と言えるのは、回答者全体の5分の1(19%)に過ぎません。その生成AIリーダーにとって、生成AIは極めて重要なテクノロジーであり、彼らは自動化に対する投資の中心に生成AIを据えています。
生成AIに関する戦略、導入状況、そしてビジネスとテクノロジーのパフォーマンスにおいて、このえり抜きのグループは他社を大きく引き離しています。
生成AIリーダーは、自動化も重要あるいは極めて重要だと考えており、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の迅速な促進のため、自動化にも積極的に投資しています。また、インテリジェント・ワークフローによってパフォーマンスを加速させることを目指しており、ITプラットフォームやアプリケーションに投資し、拡張させながら、自動化によりITの複雑性を軽減しています。そのプロアクティブで積極的な姿勢は明白で、例えば、自動化をDXの加速要因であると認識している割合は、生成AIリーダーでない企業と比べて25%高い状況です。
自動化に投資するときの目標
AIと自動化:4つの重要な検討事項とアクション・ガイド
本レポートでは、「データと準備」、「人材とデジタル・アシスタント」、「ITがもたらす機会」、「投資の優先順位」という4つの重要分野を取り上げ、それぞれを掘り下げています。その過程で、実際に成果を上げたケース・スタディーも紹介しています。本レポートの最後には、インテリジェント・オートメーションを最適化するための11項目の青写真を、アクション・ガイドとして紹介しています。詳しくは、レポートをお読みください。
著者について
William (Bill) Lobig, Vice President of Product Management, IBM Automation SoftwareTom Ivory, Senior Partner and the Global Automation Leader, IBM Consulting
Karen Butner, Global Research Leader, AI Automation, Supply Chain, Virtual Enterprise, IBM Institute for Business Value
発行日 2024年5月7日