OpenAIのChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)がニュースで大きく取り上げられ、生成AIがビジネスの世界に旋風を巻き起こしています。経営層もこのブームに無関心ではいられません。AIがIT予算に占める割合は過去最高を記録し、AIを中心に構築・運用されるシステムへの支出は世界全体で2022年から27%増加し、2023年は1,540億ドルになると予測されています。
しかし、企業はこうした投資を賢く活用できているのでしょうか。IBVの調査によれば、答えは「イエス」です。ただし、それは組織がディシプリン(規律)のあるアプローチを取った場合に限られます。
AIに対する期待は高まっていますが、それに見合うROIは可能でしょうか
この結論は、主要地域にまたがる16カ国で事業を行う企業の、ビジネスおよびテクノロジー部門の34の役職に就く経営層2,500人を対象に、IBVが行った調査により導き出されたものです。同調査では回答者に、自社が現在どのようにAIに投資しているのか、ROIの実態はどうであるか、効果を高めるためにはどうすればよいか、といった内容を尋ねています。
適切なアプローチが、企業を成功に導きます
IBVが行った調査から、株主が期待する財務価値を実現できているAIプロジェクトは少数であることが明らかになりました。実際のところ、企業全体の事業に対するROIは平均で5.9%にとどまり、一般的な資本コストの10%を大きく下回っています。
しかしながらAIの成熟が進むにつれ、ROIは確実に向上し、トップクラス企業は13%という素晴らしいROIを達成しています。企業がどこに、どのような形でAIを展開すべきかを検討する際に、大胆な決断がより大きな利益につながるのです。
トップクラス企業はAIプロジェクトで13%というROIを達成しており、これは平均ROI(5.9%)の倍以上となります。
こうした世界のトップクラスの組織は、他社とはどこが違うのでしょうか。各業界のリーダーは彼らの成功から、何を学ぶことができるのでしょうか。本レポートをダウンロードしてお読みいただければ、以下のことがわかります。
-
AIプロジェクトは単発で行うと、組織全体で戦略的に行うときよりも生産性が低くなりますが、それはなぜでしょうか。
-
信頼できるデータは、AIの成熟を促し、成熟したAIはデータの信頼性を高めるといった好循環を生みます。
-
トップクラスの組織を生み出す6つの主要な能力を定義しましょう。
トップクラス企業になるために:AI投資トップクラスのROIを実現する企業は、信頼性を中核として6つの能力を成熟させています。
著者について
Maryam Ashoori, Director, Product Management, Emerging Technologies Software, IBMBrian Goehring, Global Research Lead, AI, IBM Institute for Business Value
Timothy Humphrey, Chief Analytics Officer, IBM
Mahmoud Naghshineh, Vice President of AI Impact and Partnerships, IBM Research
Cathy Rodenbeck Reese, Americas Data & Technology Transformation Leader and Senior Partner, IBM Consulting
発行日 2023年5月9日